ひとつの航海が終わりを告げ、ふたつの生命を産み出した。
幾許かの悲哀が混ざる幸福感と満足感に浸る中で、ふと思い出し、そして気が付いた。
いつの日だったか、十三番目のカードが逆立ちをしていた。
あれは、今日のこの時を嘲笑していたのだ。

邯鄲の夢から目覚めるように、玉響に得た認識に恐怖と諦観を植えつけられる。

大いなる輝きに、あるいは、底の見えない闇の深さに、ただただ畏れをなし、ひれ伏し、祈る。
そして己の弱さを隠すように、それを是とし善とし正とする。

しかし人は、気付かなければ、気付かれなければ、幸福でいられると知っていても、探らずにはいられない、叫ばずにはいられない。
偉大なる神が創れと命じた舟であろうとも、人の方寸はそこに収まりきらない。

ゆえに私は、垂れた頭の下で、舌を出してみせましょう。


ジェントルマン・ノア

 

ブログ